日常

ついったお題をいじくったもの　：黄色　予測　好き

黄色の外套を視界の隅に捕らえ執務も丁度区切りした所だ、と筆をおいて窓辺に寄った。訓練も終わったのだろうか、てきぱきと雑兵に指示する彼の後ろ姿を見つめる。

その外套の傷はいったいいくつあるのだろうと、ひとつふたつと数え始めたが指示が終わるにはまだしばらく掛かるらしい。飽きたところで今朝届いた茶の葉を確かめ淹れる事にした。湯を茶器に入れ、温めると葉と湯を入れなおし香りが広がるのを待つ。


「楽、」
「ん、終わったん？奉」


いつのまにかこちらに来ていたのか・・・彼に淹れたてのそれを渡した。


「あぁ。今の時期は・・・」
「新入りも多いから大変やねぇ・・・」


新しく仕官し、軍に入ったものはまだまだひよっこだ。右も左も分からない者に指示を出すのは難しい。それで遅くなったのだろう。
頷く彼の負担が多くなるのも仕方がない。彼は将軍なのだから。


「午後からもまたやるんやろ？」
「そうだな。準備をしておかないと。・・・美味かった、ありがとう」
「そう、よかった」


空になった茶器を受け取ると、もう彼は歩き出していた。
今呼びかければ、振り返ってくれるだろうか？


「叔厳、」


休めとは言えない。
その代わりに笑顔で送り出す。


「ほどほどに、なぁ？」


きっとそれは彼も同じ


「孝一も」


愛しさを、笑顔に込めて